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Isidro Lopez(2) [テックスメックス]

HAC-7670.jpg

 今回取り上げるのはIsidro Lopez。2004年、Haciendaから出された、おそらく追悼盤と思われるアルバム、"Recordando"です。以下のサイトで試聴もできます。

http://www.haciendarecords.cc/Merchant2/merchant.mv?Screen=PROD&Store_Code=HROC2000&Product_Code=HAC-7670+C&Category_Code=Isidro+Lopez

 このブログでは2007年8月5日の第28回目に続いて2度目の登場となります。

http://texmexstrikesagain.blog.so-net.ne.jp/2007-08-05

 1960年代、Sunny OzunaやLittle Joeの登場あたりを中心に取り上げてきた本節の最終回にIsidro Lopezを選んだのは、彼が、1950年代、60年代から80年代に至るまで常に現役として活動し、Orquestaというスタイル形成に貢献し、さらにはMusica Tejanaという大きな潮流において、常に中心人物の一人として一定の存在感を示し続けた人物であったからです。

 ここでは、彼の"Recordando"を取り上げ、その音楽性を検討してみたいと思います。
 このアルバムは、どういういきさつで作られたか、ライナーや録音データ等がないので詳しいことはわかりませんが、晩年にHaciendaで録音されたもののベスト盤の可能性も高いと思います。2004年、彼が没した年にRecordandというタイトルで出されたので、彼の追悼盤と判断して間違いないでしょう。

 ここではわたしの知る限りで、このアルバムから伝わってくるものを確認してみたいと思います。
 まず、前回取り上げた、"La Lumbre"と比較すると、こちらはランチェラが10曲中7曲を占め、もう1曲はコリード、あとの2曲はボレロ。アコーディオンにアルト・サックスをユニゾンでかぶせる、というコンフント・スタイルです。サウンドを聞いた限りでは、1960年代録音と70年代の録音が混在している、という印象です。ウッド・ベースの音が時代を感じさせるものが多く、若干の曲でエレキ・ベースを使用したモダンな感じの演奏があります。とすればいくつかの曲におけるアコーディオンはTony De La Rosaの可能性も高い。
 それに対して、この"Recordand"はどうか。古い録音も含まれているけど、比較的新しい録音のほうが多い。おそらく70年代だとしてもかなり後期のほうでしょう。ベスト盤だからいろいろな曲を集めてきたのだろうけど、14曲中ランチェラ6曲、バラーダ4曲、ボレロ1曲、クンビア2曲、カントリー1曲となっています。ただし、バラーダのうちの1曲はHank Williams の"I'm So Lonsome I could cry"。またクンビアのうちの1曲、"El Chivirico"は古いラテンで、Xavier Cugatも演奏していたし、東京キューバンボーイズも"チビリコマンボ"としてレパートリーとしていました。もう一つのクンビア、"El Gavilan Pollero"は、わたしの記憶が確かであれば、Freddy Fenderも演奏していました。
 全体的にフルラテンオーケストラの占める割合が多い、という印象を受けます。マンボをクンビアにアレンジしたり、Hank Williamsの曲をバラードとして取り上げたり、ポルカの曲でもホーンアレンジなど、さまざまな工夫がなされています。Isidor Lopezの様々な側面が伺えるのが、このアルバムの特徴といえるでしょう。
"El Rumble"と比較するとその多様性は際立っています。比較する事自体の有効性もありますが、Isidro Lopezの音楽のさまざまな側面を理解する手がかりにはなるでしょう。
 こうして、常にMusica Tejanaの第一線にいつづけたことが、彼を"Father of Tejano Music" と呼ぶ由縁なのでしょう。
 50年代、ラテンやジャズ、カントリー音楽などの影響を受けたIsidro Lopezと、60年代、RockやSoul,R&Bからの影響が強いLittle JoeやSunny Ozunaたちとの世代的な対比という視点からIsidro Lopezの音楽にスポットをあててみるのも面白いかもしれません。
 意外に50年代に音楽を初めたIsidro Lopezのほうが、カントリー、ジャズ、ロックンロール、ラテン、コンフントなどの音楽を客観的に把握することができ、それを糧として、今日まで、演奏を続けてきたのでは、という気もします。
 Little Joeの時代になると、もう巨大マスメディア時代に入り、流行とかトレンド(傾向)がある程度画一化されてしまっている。
 だからLittle Joeなどは、Isidro Lopezの音楽から教わることは多かったんじゃないか?
 これは推量ですが、わたしはこう考えます。

 Isidro Lopezは、1929年5月17日、テキサス州ビショップに生まれ、2004年8月15日、逝去。享年76歳、晩年はコーパスクリスティに住んでいた、とのことです。

 合掌。



  
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