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Linda Escobar(3) [テックスメックス]

LindaEscobarLaDivaDeConjunto2.jpg

 今回取り上げるのは、Linda Escobar、2008年に発表した新譜、"La Diva De Conjunto"(コンフントの女神)。
 以下から入手できます。

http://www.tejanoclassics.com/Merchant2/merchant.mv?Screen=CTGY&Store_Code=tjc&Category_Code=ESC

 彼女は、メジャーレーベルからアルバムを出してはいないけれども、十分にその実力を持ち合わせているアーティスト
 彼女とほぼ同じ世代(多分ヒスパニック系と思われる)で、メインの使用言語が英語であるTish Hinojosa やRosie Floresが、米国ポップスのメインストリームからの影響を直接受けているのに対して、スペイン語が主要な使用言語であるLindaは、父親が音楽家だったということもあり、コンフントという音楽環境の中で自らの音楽を育んでいきました。
 Tish Hinojosaが英語教育を受けて育ち、アングロアメリカンやユダヤ人のシンガーたちが歌うフォークソングに魅せられ、プロの音楽家になってから自らのアイデンティティを発見するために外側からコンフントに接近していったのに対し、Lindaは、内側から自分自身の音楽としてコンフントに対峙していった、と捉えることができます。

 このアルバムは、La Kreazionというコンフントとの共演となっており、メンバーはJohn Eguia(アコーディオン、セカンドボーカル)、Frank Eguia(バホ・セクスト、セカンドボーカル)、Tony Luis(ベース)、Benny Adame(ドラムス)。基本的なサウンドは、Tony De La Rosaスタイルのアコーディオンを中心とするオーソドックスなコンフント、といった印象です。

 このアルバムではメキシコや南テキサスで古くから歌われている曲が多く取り上げられており、全体的にゆったりとした曲調が多い。
 ポルカの曲でも、リズムのキープはさすがとしても、聞き手にゆとりを与えてくれる、おおらかさがあります。
 例えば、Los Alegres de TeranやRamon Ayalaのレパートリーとして有名な、9曲目の"Te Vas Angel Mio"(You Leave my angel : 私の天使を残してあなたは去っていく)は、もともとスローなワルツ。Lindaは、小手先のアレンジを排し、正面からこの曲に取り組んでいます。
 Los Alegres de TeranやRamon Ayalaのリズム感覚の形成には、それぞれの風土的・時代的な必然性もあっただろうし、そうした音楽的土壌のなかでそれぞれ独自なリズム(テンポ)や表現を培ってきたのだと思います。
 そんな、時代がかった、ゆったりとした昔の曲を、ずっと新しい世代のLindaが取り上げるのはそれなりの理由があるでしょう。

 Los Alegres de Teranの"Te Vas Angel Mio"はこんな曲です。

 http://jp.youtube.com/watch?v=BuUmJLz8cUg

 Los Alegres de Teranのレパートリーからはこの曲のほかに、2曲目、"Renunciacion"も取り上げています。

 4曲目の"Amor Bonito"は2007年12月20日に亡くなった、故Lydia Mendoza のレパートリ−から。この曲は、Little Joeをはじめ多くのアーティストに歌われたスタンダード。Lindaは正攻法で取り組んでいます。

 8曲目、"La Martina"はメキシコの歌曲(だと思う)。Youtubeで調べたところでは、Irma Serranoのレパートリーと思われますが、いろいろありました。Lindaはワルツのリズムをポルカにアレンジしてさわやかに演奏。

http://jp.youtube.com/watch?v=foY5YKN7zNU
http://jp.youtube.com/watch?v=jonhuGGVk7E
http://jp.youtube.com/watch?v=9M7oYoxkHGI&feature=related
http://jp.youtube.com/watch?v=A6gpwNs3yaY&NR=1

 そのほか、Jose Alfred Jimenezのレパートリー、オリジナルなどもあり、自らの音楽を歴史的視点から捉えようとする姿勢が伝わってきます。

 全体的に、バランスが非常によく、ひとつひとつの曲が、細部に至るまでよく考えられてアレンジされている、といった印象を受けます。

 そして最後に、なぜかBob Dylanの曲"It ain't Me , Babe"が収められています。

Dylanの演奏は以下のとおり。

http://jp.youtube.com/watch?v=PCvVNAtaiUg

 Lindaによるアレンジはテキサスカントリー風でかっこいい。


 しかし、なぜアルバムの最後の曲を"It ain't Me, Babe"にしたのか。
 いろいろ理由は考えられるけど、例えば、Lindaはこの曲と、その前に入っている"Te Vas Angel Mio"を対比したかったんじゃないか、ということがひとつ。
 歌詞を、ここで詳しく比較・分析できる余裕はありませんが、なんとなくそんな気がしました。

 あるいは、"It ain't Me, Babe"の歌詞がいまのLindaの心境にあっているのかもしれない。

 こんな具合にいろいろな憶測をすることができます。

 参考までに、Te Vas Angel Mioの歌詞を紹介します。概ねこのCDのヴァージョンと同じですが、一部違うところがあります。

Te vas angel mio,
ya vas a partir,
dejando mi alma herida
y un corazon a sufrir.

Te vas y me dejas,
un immenso dolor,
recuerdo inolvidable,
me a queda doler tu amor.

Pero ay cuando vuelvas,
no me allaras aqui,
iras a mi tumba y alli rezaras por mi.

Veras unas letras escritas alli,
con el nombre y la fecha,
y el dia que en falleci

 いずれにせよ意外な曲をアルバムの最後で取り上げる、という点で彼女の個性を読み取ることができる、ということはできるでしょう。

 彼女のアルバムは、たいていなんらかのメッセージが託されていて、このアルバムも例外ではありません。
 サウス・テキサスのあるひとつの共同体から生まれた音楽、Conjuntoについて、それを外部から理解しようとするとき、彼女の果たす役割は、とても重要であると言わざるをえません。

 なぜなら彼女が発するメッセージはConjuntoのひとつの現実を示しており、わたしたちはそれを理解することができるからです。

 このアルバムは、彼女の他のアルバムと同様、そうしたメッセージが託されたアルバムとして貴重かつ優れたアルバムである、と言えると思います。







 



 

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吾妻虎太郎

deacon_blueさん、ナイスありがとうございます。ことしもよろしくお願いいたします。

by 吾妻虎太郎 (2009-01-04 17:05) 

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